漫画の京都:おはようおかえり、へうげもの、バガボンド

梅雨シーズンの真っ最中で最近はなかなか自由に散歩にでかけられていません。今回は最近読んだ京都が舞台の漫画作品をご紹介します。

全5巻「おはようおかえり」は鳥飼茜さんの初期作。この後には「先生の白い嘘」でレイプ、「ロマンス暴風域」で風俗など、ダーク系な内容の作品を出版されますが、ここでは京都での日常生活や恋愛事情がコメディタッチで描かれています。テレビドラマで京都弁を聞くと「こんなんいわへんわ」ってセリフが多いですが、この漫画のキャラが話す京都弁は自然で違和感なく読めました。
▲見慣れた「あっここ知ってる!」って風景が度々登場します
全25巻「へうげもの」は戦国時代のお話ですが、ありがちな戦ものではなく、茶道や茶器、美術や建築といった観点から描かれています。主人公は古田重然。千利休に弟子入りした武将で、大徳寺の三玄院にお墓があります。かなり癖のある絵スタイルなので、読み始めはなかなか受入れられない読者もいるかも。似たような顔をしたちょんまげ姿のキャラが何人も登場するので、混乱することもありましたが、最後まで読んでよかった!と思えた作品です。第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞や第14回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞。
▲茶室の四畳半という畳の配置や茶碗の「曜変天目」など、茶道というのは宇宙なんだなと改めて気が付きました
この数年間は雑誌「モーニング」で再開したと喜べば休載の繰り返しで、もはや話がどこまで進んだのかも忘れがちな長編名作、現在は37巻まで出版されています。連載当初と比べて画も進化しています。数年前には井上雄彦氏が描いた親鸞の屏風絵が東本願寺で公開されましたが、そちらも迫力のある、一度観たら忘れられない作品でした。「バガボンド」では宮本武蔵と吉岡伝七郎が三十三間堂で決闘したり、吉岡一門と一乗寺下り松で最後の闘いを挑んだりと、京都が重要な場所として描かれています。同じくバスケの「リアル」も休載中なので共に早く再開を期待しています。
▲各ページが筆で描いたアート作品のようです。電子出版されていないのは、きっと紙媒体で読んでほしいからでしょう