授業だけじゃない大学院の魅力②

熱川プロジェクト

9月のKBC Radioのテーマ「京大・京大MBA」に沿って、こちらのWEBでも今月は京大MBAに関する情報を発信させていただいております。今回は「授業だけじゃない大学院の魅力②」と題し、以前に少し触れました授業外のプロジェクト「熱川プロジェクト」について紹介させていただきます。

参考 京都大学×熱川温泉観光協会@PRESS

このプロジェクトは静岡県伊豆半島の熱川温泉観光協会と京都大学経営管理大学院が連携し、集客力・地域力向上のために発足したプロジェクトです。熱川温泉観光協会の方で京大MBAのサービス&ホスピタリティコースの卒業生がいて、その方と先生のつながりで始まりました。

▲熱川観光協会HPより

プロジェクトメンバー

観光MBAとサービス&ホスピタリティコースのM1、M2の計7名参加しました。留学生、社会人、学部からの進学、起業家等々、年齢もバラバラで様々なバックグラウンドを持ったメンバーが揃いました。

目標&スケジュール

初年度(2019)の具体的な目標は二つあり、(1)熱川温泉観光協会ホームページのリニューアル、(2)観光協会の赤字事業再建のための事業計画でした。長くなるので(1)の活動内容を中心に紹介させていただきます。

昨年9月から半年間で下記のようなスケジュールで活動しました。

スケジュール

9月:プロジェクトメンバー募集&決定。目的、実施内容のすり合わせ

11月:現地視察、打ち合わせ

2月:町内にて最終発表

10月以降は月1、2程度ミーティングを実施しました。

実施内容については、大きく4点あります。

活動内容①現地視察

そもそも熱川ってどこ?から始まり、どういった場所なのか視察してまいりました。観光箇所に加え、宿泊施設、現地の交通機関、飲食店、町役場等々訪問させていただきました。また、熱川を訪れていた観光客及びライバルである熱海を訪れていた観光客にインタビューし、旅行先とした選んだ理由や目的、訪問箇所等々ヒアリングをしました。

その結果、熱川は自然豊かで、海と山の幸+景色の両方を楽しむことができること、奥深い温泉文化があること(温泉熱の活用方等)が大きな魅力であることを学びました。一方で課題として熱川の認知度が低く新規顧客が少ないことや観光客を受け入れる側の品質管理等々多くの気づきがありました。

活動内容②ターゲット選定

呼び込みたい顧客層、HPリニューアルに向けて、視察結果をもとに観光箇所の内容や提供サービス、訪問客層、インタビュー結果、交通網等々考慮し、ターゲットを決めました。

①伊豆、熱海には既に1回は来たことがある人

 ⇒熱海のイメージが強く認知度が低い。熱川は温泉玄人向け。熱川に行ったことがある人は熱川を「近い」と感じていた。関西でいうと熱海が有馬や城崎温泉、熱川は湯村、塩田温泉。

②20歳代後半~30代(27~35歳)の女性

 ⇒自然に癒しを求める。温泉文化、温泉熱の活用方法に興味を示す年代。

③首都圏在住 ⇒関西からは遠く交通が不便。

首都圏在住のバリバリ働きざかりで自分へのご褒美としてのんびりまったり温泉や自然に癒しを求める女性像で、具体的にペルソナを立てて落とし込みました。イメージしやすいように具体的なターゲットとして、女優の多部未華子さんを想定しました(笑)。

活動内容③HPリニューアル

10年ほど前に作ってからそのままと言われていたHPをリニューアルしました。

以前のHPはこんな感じでした。

左には旅行会社のバナーがずらっと並んでおり、文字の情報が多く、何をアピールしたいのかがわかりにくい、ごちゃごちゃしていてそもそも見づらいといった課題がありました。

そこで4点手を加えました。

1. ターゲットの明確化とそのターゲットに向けてのコンテンツ

活動内容②で決めたターゲットに沿って中身を作り直しました。HPに流入してからの来訪成約率向上を狙うため提案型の散策マップ・コースを掲載しました。

2.写真ベースでの情報の伝達

従来は飲食店名を最初に表示し基本情報を載せるだけでしたが、人気商品の写真をまず表示し、「これを食べるならここ」といった形で表示するようにしました。

▲Before
▲After

3.インバウンド対応

対応言語が日本語のみだったので、メンバーで翻訳して英語ページを作成しました。

4. スマートフォン仕様への変更

活動内容④最終発表

最終的に町役場の会議室にて東伊豆町町長、観光協会会長、商工会会長、地元の方々に対して上記①~③の内容に加え、目標(2)の観光協会の赤字事業再建のための事業計画、その他観光コンテンツについて発表&提案し、1年目のプロジェクトは終了しました。

そして最終出来上がったHPはこちらです。

参考 熱川温泉観光協会熱川温泉

このプロジェクトを通じて座学で学んできたことのアプトプットができ、様々なスキルが身に付いたと感じています。観光地の課題発掘から現状についての調査や解決策の考案、HPの作り方、効果的なPR方法等勉強になりました。また、改めて地元の方々、観光協会等様々なステークホルダーがいる中で何かを変えようとする際の合意形成や調整の難しさを実感しました。その後コロナの影響で進んでおりませんが、HPの状況や効果検証等行っていきたいと思います。

ではまた~^^

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