みなさん梅雨が明け、見事に暑くなってきましたね。
溶ける。
今日はいつもと違う視点で私の仕事にも関りがある宿のご紹介をできればと思います。
そのお宿の名は「西陣 藤田」です。

西陣織は皆さんご存知の通りかと思います。
「西陣」というのは、京都市上京区から北区に渡る地域の名称を指します。
*ちなみに「西陣」とは行政区域ではない。
さらに「西陣」の名は、応仁の乱(1467年-1477年)の際に西軍総大将である山名宗全らが堀川よりも西のこの土地に陣を構えたことに由来しています。 by wikipedia
この「西陣藤田」はかの有名な西軍大将の山名宗全氏の邸宅跡に建てられた立派な家屋となります。

文化財オンラインでも下記のように紹介されています:
京都府明治/1968~1882/1935改修木造2階一部3階建、瓦葺、
建築面積280㎡
1棟
京都府京都市上京区堀川通今出川上る西入山名町811他
登録年月日:20150326登録有形文化財(建造物)
間口五間半で木瓜形の虫籠窓を穿つ東棟と同二間半の西棟からなり、西棟前面の応接間は数寄屋と洋風を融和した意匠をもつ。
後方の住居部には、数寄屋または書院風の、趣を変えた座敷など多様で洗練された室を並べる。
西陣の繁栄と町家の大型化を示す上質な住宅。
このうち、ご宿泊いただけるのが「東棟側」です。

明治初期に建てられた伝統的な町家のつくりで、虫籠窓、格子窓など、当時の面影をそのまま残しています。
ご宿泊はこの東棟の1階部分となります。
(2Fはサロンとして開放していることもあります)
リビング・洗面・お風呂は利便性を重視して改装しておりますが、居間・寝室などは、町家のしつらいのままで、手すきガラス越しに蔵と茶室のある庭の見える居間は、静かに流れる時間を感じていただける空間になっております。
ちなみに、左手奥にある茶室も有形文化財の登録を受けていますが現在改装中、きちんとしたお茶室として蘇りますので乞うご期待を。
また、「おくどさん」(米を炊く竃)のあった通り庭は、三和土(たたき)になっており、戦前の生活道具、西陣織に関わる道具、また、京都にまつわる珍しい書物もあって、ご自由にお読みいただくことができます。
当時の面影を残しながら、快適に過ごしていただく工夫を随所にしているので、ご滞在中はゆったりくつろいでいただける自信があります!
随所随所にこだわりの見える物件でもあります。

また西棟は、大工・高源次郎氏によって昭和8年から2年以上の月日をかけて建てられたもので、街路に面して門と高塀を構えています。
表側から洋間、3層吹き抜けにした板敷き、6畳座敷、8畳座敷4室が連なり、さらに奥には表千家堀内宗完が「養心」と名付けた茶室(↑にも書いた文化財)が建てられています。
こちらは宿泊施設とは別に、一般公開も随時しております。
2016年に京都市観光協会とのコラボレーションで「京の夏の旅」で一般公開したところ、数万人のお客様においでいただきました。
実は2020年の今年も、夏の特別拝観をご用意しています。

宿泊だけに関わらず、京町屋の暮らしぶりを後世に残していく取り組みは私個人としてもとても興味のある分野ですし、これに携わらせていただいていることに関しては常にモチベーションをいただいています。
コロナ禍においては大変な状況ではありますが、少しでも観光のお客様が戻ってくること、こういった文化財が後世にも継承されていくといいなと感じます。
西陣藤田は、オーナーさんもとてもユニークな方かつ、とてもパワフルです。
こちらの藤田住宅のお生まれでもありますが、ご自身、下京区にある明覺寺というお寺の住職をしながら、ソプラノ歌手もされています。
まさにお宿のオーナーでもあり三足の草鞋を履いていらっしゃいます。
いつもパワフルで、とっても陽のオーラのある方で素敵です。
ご宿泊時、特別公開時には、オーナー様がご接遇されますので、面白いお話がたくさん聞けると思いますのでお宿でも、特別公開のご予約でもこの機会に是非☺
このブログをご覧になっていただいた方からの予約があるのであれば、それはまた最高なことだなと思います。