日本国内の自治体、観光事業者の間で「訪日インバウンド」に対する諦め、悲観的見通しが拡がっていることに危機を抱いている。香港の航空会社や旅行会社とのミーティングでは、渡航関連の制限が解かれれば一刻も早く再開したいと、温度差を感じる。需要はあるにもかかわらず、日本側が消極的になってしまっている印象である。

まずは国内観光から、といった段階的なロードマップは理解できるものの、人口減少、高齢化の日本国内マーケットのパイの奪い合いだけでは、早晩限界が来るだろう。インバウンドについても早期再開を目指し、今から動いていかなければならない。
なぜならば、訪日インバウンド客1人当たりの旅行単価が158,531円[i]に対し、日本人の国内旅行単価は37,349円[ii]と4倍の差があるからだ。更に、訪日インバウンド客が外貨をもたらし、国内観光で消費を回すのとはマクロの視点から日本の経済成長に大きく寄与するという点でも、訪日インバウンドへの取組を減速させてはならない。
インバウンド再開に向けては、地域住民の合意形成や感染拡大防止策、入国規制等、ハードルは高いが、前を向き一刻も早くインバウンドの受入を再開出来るように、関係機関等に働きかけを行っているところである。香港人にとって海外旅行はライフスタイルの一環で有り、どの国、地域が旅行規制を緩和するかアンテナを高く張っている。COVID-19収束後のこの繰り越し需要(Pent-up Demand)を取りこぼさぬよう、日本ー香港間の人の往来が、一刻も早く正常化する事を望みたい。
[i] 観光庁 2019年 「訪日外国人消費動向調査」
[ii] 観光庁 2019年 「旅行・観光消費動向調査」 *なお、内訳として宿泊旅行が55,069円、日帰り旅行が17,301円